骨妹 sisterfood
海外旅行の飛行機内、私はドケチ精神がすごいので、少しでもチケット代の元を取ろうとひたすら映画を見るのですが...
少し前に、チャイナエアライン機内映画の「世界の映画」というコーナーを漁っていると、なんだか一際目をひくパッケージがでてきました。
それがこちら。
一瞬、ん??と、違和感を覚える。
ベッドの上に2人の女の人、その間に赤ちゃんという構図。
なんとなく昔から、男とか女とか関係なく「人が人を好きになる感情」だとかに興味がとてもあったので、同性愛のお話かな?と、ひとまず選択してみました。
こちら、香港の映画で
『骨妹 sisterfood』
(大阪アジアン映画祭では、『姉妹関係』というタイトルだったそうな)
機内再生では、音声は中国語のみ。字幕は英語のみだったので、ぼんやり理解できればと、ひとまず観てみることにしました。
結果、機内で号泣。
夜行だったので、辺りのライトがおとされ、乗客が寝静まる中響き渡る私の鼻水をすする音。
となりのおじさんすまんかった...。
何が深いとか、どの表現が素晴らしいとか...
そういったことはうまく言葉で表せないけれど、なんだかすごく心が動いた感じがしました。
ああ、人を好きになるってこういうことなんだなって。男とか女とかそんなことはどうでもよくて、性だとか欲だとかそんなものも関係なくて、純粋に「好き」ということ。それがふんわりと、でも、しっかりと感じられる映画でした。
ちなみに、冒頭で同性愛の映画だと思ったと書きましたが、同性愛とかそんな言葉で片付けるのも違うかな、という気がします。
ぜひ、観れる機会があればみて欲しいです。
中国語も英語もわからないけど、台詞よりも表情だとか場面で十分理解できるお話でした。
舞台はマカオ。
(まあそれなりにエッチなサービスもする)マッサージ屋で働く女の子たち、新しく入った詩詩(シーシー)を靈靈(リンリン)は気に入って、姉のように面倒をみるようになり、2人は急速に距離を縮めます。
ああ、この靈靈がまた素晴らしい。
ぱっと見なんかすごい性格悪そうなクソビッチだと思うのに、抜群の姉御肌、それでいてお茶目というギャップ。最強かよ。
まさに女性が憧れるお姉さん的存在をしっかりと演じていました。
一見強そうに見えて、繊細で脆く、打ち解けていくにつれ弱さをみせるそのギャップも愛らしかったです。
無邪気に素直に、姉を慕うような詩詩も、すごくチャーミングな役。
ふれっしゅかんが素晴らしかった。
こちらは一見妹キャラに見えて、芯が強く恐れを知らない、靈靈を支えるたくましさがありました。
まさに凸と凹、唐揚げとレモンのような、抜群の組み合わせ。
しかし、友達以上恋人未満的ゾーンの日々、穏やかで暖かく、幸せな2人の日々を壊す出来事が...。
なんと靈靈が妊娠。
父親が誰なのかわからない(まぁビッチではある)靈靈は、生活のことを考えて中絶を決意。
しかしここで、詩詩が「2人で育てよう!」と爆弾発言をくりだし、靈靈は赤ちゃんを産むことを選択します。
そこから、2人は親友のような、夫婦のような、いや、ただ"彼女たちの子供"を愛する人間として再び暖かな生活を送っていくのです。
ここで終わって欲しかったのに、またもや日々をぶち壊す存在が...。
マッサージ店で詩詩にベタ惚れした台湾イケメンの登場。
なんとこの台湾イケメン、お金も持っていて、初デートでプロポーズする純粋さまで持っているという希少動物。
詩詩は台湾イケメンには目もくれず靈靈と子供を愛する道を選ぼうとしますが、近所で「あの女2人は同性愛者なんじゃないか」などと噂されたりしていたことや、マカオで暮らしていくのがどんどん困難になっていたこともあり、靈靈は1人決意を固めます。
ぴ、ぴゃあああぁぁあ(涙)
新しい男ができた、やっぱり子供には父親が必要だわ〜的な暴言を吐き捨て、自ら詩詩に嫌われて自分と引き離し台湾イケメンを選ばせる姉さん...姉さんんん...!
泣きながら靈靈のもとを去って行く詩詩、背を向け必死に涙をこらえる靈靈。ふつくしい...
リアルタイムではなく、数年後の詩詩の回想で物語はすすんでいくので、結末はぜひご覧になって確かめてくださいな。(書くのつかれた)
ともあれ、人を好きになるということが心にダイレクトに響く映画でした。
観終わって鼻水ずびずびで2回みました。
この映画の中で2人の性的な接触は一切描かれていません。寝てもないし、キスもしてない。ただ愛があって幸せがある。やっぱりそれだけでいいよなぁ...
日頃生活をしていて、ヤリたいだのチューしただのうるせえわって、そんな欲にまみれた茶番が馬鹿馬鹿しくなる、人を好きになりたいと思える映画でした。
あ〜クリスマス前だけどそんな人いな〜〜い!